第216章 こんな遅くに彼女はまだ出かけるの?

中野蓮はその言葉を聞いても、少しも落胆しなかった。むしろ、嬉しさがこぼれそうな顔をする。

「うんうん! ママ、ゆっくり考えて! ぼく、ぜんぜん急がないよ。どれだけ考えてもいい! いつでも時間ある!」

――やった。ママ、いきなり断らなかった。

子どもらしいまっすぐな喜びが、長谷川栞の胸をいっそう言い表しがたいものにした。

数秒の沈黙のあと、栞は低く言う。

「……なるべく早く返事する」

「うん! じゃあ、ママの返事、待ってるね!」

蓮は最後まで浮かれたまま、足取りまで弾ませて帰っていった。

「蓮が、あんなに嬉しそうなの……久しぶりだな」

皿を洗い終えて出てきた中野航平が、ふいに...

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